株主通信 FPS REPORT 第73期 2024年4月1日―2024年9月30日

トップインタビュー TOP INTERVIEW

動き出した市場環境に適応して確実な成長へ

代表取締役社長 堤 忠彦
代表取締役社長
堤 忠彦

 株主ならびに投資家の皆様には、平素より当社グループの事業運営に対して、深いご理解とご支援を賜り、厚くお礼申しあげます。

 第73期は、過去最高の手持ち工事額530億円強をもってスタートしました。ここ数年間は潤沢な手持ち工事を確保しながらも、順調な進捗フェーズに移行することが難しく売上高の伸びに苦慮する状況が続きました。今年度は、土木事業においては大型の手持ち工事が準備工事段階から本格的な本体工事に着手して順調な進捗局面に移行したこと、また建築事業においては新型コロナや原材料高騰の影響を受けて停滞していたマンション需要などが急速に回復し、工場製品を中心に事業量が前年度を大きく上回り、中間期においては150億円に迫る直近5ヵ年での最高額を達成しました。今後はこの流れを維持しながらも、大きな変動を避けた安定的な稼働状況を確保していくことが重要です。一方利益面においては、労務費や原材料費の高騰が土木建築両事業に共通に引き続き影響を及ぼしていることに加え、急激な生産量の増加に対応するための施工・製造体制構築に通常以上の原価の投入を要したことが採算性の悪化に影響しました。今後は計画通りの期末業績の達成に向けて安定的な稼働状況をつくりあげていくことが課題であり、確実に対応してまいります。

 さて、VISION2030の中間ゴールとした2026年3月期での業績目標である売上高350億円、営業利益率5%の達成までの期間は、残すところ1年半となりました。これまで、堅調な市場環境を確実に事業として取り込むために主要な経営リソースである「ヒト・モノ・カネ」の拡充を進めてきました。しかし、ソフト、ハード両面で様々な施策を実行するなかにおいて、社会的な課題である人口減少社会を背景とした担い手不足が人材の確保に大きく影を落としていることは否めません。このような状況のなか、2024年問題への対応と合わせ、生産性を確保するための施策として国が提唱する「i-construction2.0」*の実行、そして工事利益改善PJによる高収益性に向けた諸検討、財務体質の健全化に向けた資本政策、そして引き続き職員の確保・育成に向けた「リ・ブランディング推進活動」を進めて引き続き経営環境の改善を実施してまいります。

 株主様をはじめとするステークホルダーへより丁寧に対応することを目的とした東証の求めに対し、「資本コストや株価を意識した経営の実現への対応について(2024.5.15)」を開示しました。ここで示した施策と経営指標の目標値の実現を目指し、株主様の価値向上など会社の健全な経営と成長に向けた施策を継続していきますので、中長期的な計画へのご理解を賜りますとともに、引き続きのご支援を賜りますようお願いします。

  • *:
    2040 年度までに建設現場の省人化を 3 割、すなわち生産性を 1.5 倍向上することを目指し、「施工のオートメーション化」、「データ連携のオートメーション化」、「施工管理のオートメーション化」を 3 本の柱として、建設現場で働く一人ひとりが生み出す価値を向上し、少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生産性の高い建設現場の実現を目指して、建設現場のオートメーション化に取り組むもの。

業績・財務ハイライト PERFORMANCE
FINANCIAL HIGHLIGHTS

当中間連結会計期間の経営成績につきましては、受注高は13,874百万円、売上高は15,456百万円となりました。損益につきましては、営業損失は37百万円、経常損失は28百万円、親会社株主に帰属する中間純損失は76百万円となりました。

受注高

単位:百万円

  • 中間期
  • 下期

売上高

単位:百万円

  • 中間期
  • 下期

経常利益

単位:百万円

  • 中間期
  • 下期

親会社株主に帰属する
中間(当期)純利益

単位:百万円

  • 中間期
  • 下期

総資産

単位:百万円

純資産

単位:百万円

連結損益計算書の概要

単位:百万円

科目 当中間連結会計期間
(2024年4月1日から2024年9月30日まで)
売上高 15,456
 売上原価 13,853
売上総利益 1,602
 販売費及び一般管理費 1,639
営業利益又は営業損失(△) △37
経常利益又は経常損失(△) △28
親会社株主に帰属する中間純利益又は
親会社株主に帰属する中間純損失(△)
△76

連結貸借対照表の概要

単位:百万円

連結キャッシュ・フロー計算書の概要

単位:百万円

セグメント別概要

セグメント別
売上構成比

土木事業の紹介

佐世保道路 佐世保高架橋(拡幅)工事

 現在、高速道路の暫定2車線区間について、優先整備区間が選定され順次4車線化事業が各地で着手されています。4車線化事業を進める佐世保道路のうち、佐世保高架橋では暫定2車線の既設構造物の両側に拡幅部を接続させ、外側に拡幅する構造で計画されました。

 当社では、佐世保高架橋の市街地部にあたる区間約1.9kmのうち、PC橋18径間の下部工拡幅、上部工拡幅工事を実施しております。

 高速道路本線および県道を夜間通行止め規制して施工する必要があることから交通規制回数の縮減に寄与する施工計画の立案が求められ、また、昼間の常時開放を条件とした架設方法が求められており、大型クレーンによる夜間一括架設と門構設備を用いた一括架設が採用されました。

 令和6年8月には本工事のPC橋架設工事は全て完了し鋼橋部の施工およびヤード復旧を令和8年9月まで実施予定です。

▲ PC桁架設の様子

▲ 一部4車線化完了

土木事業決算ハイライト
受注高 9,657百万円
売上高 10,208百万円
セグメント利益
(売上総利益)
1,087百万円
受注高(単位:百万円)
売上高(単位:百万円)
セグメント利益(単位:百万円)

建築事業

品質と経済性にすぐれた建築製品を生み出す

主要都市部における都市再生開発事業の超高層マンションに採用されている当社開発のプレストレスト・コンクリート床版(FR板)は堅調に顧客を確保し、実績を増やしています。また、鋼板ダンパを用いた耐震補強工法のスマイルダンパフレームは、主に集合住宅を対象に営業活動を行い、受注拡大を目指しています。

※スマイルダンパフレームは、地震発生時に、鋼板ダンパが地震エネルギーを吸収するように設計された外付けの制震補強工法です。

建築事業決算ハイライト
受注高 3,948百万円
売上高 5,114百万円
セグメント利益
(売上総利益)
436百万円
受注高(単位:百万円)
売上高(単位:百万円)
セグメント利益(単位:百万円)

中期経営計画の進捗について ABOUT THE PROGRESS
OF THE MEDIUM-TERM
MANAGEMENT PLAN

第5次中期経営計画「VISION2030」ー新たな成長戦略に向けた経営リソースの拡充

市場環境や生産環境の変化に対応するため、2021年度、「新たな成長戦略に向けた経営リソース(人材、技術・生産設備、財務)の拡充をテーマとした、2021年度から2030年度までの10年間を対象とする第5次中期経営計画「VISION2030」を、策定いたしました。現在はVISIONの達成に向けて、主要施策の実現に向けたアクションプランの進捗状況を確認し、進捗が停滞している主要施策についてはアクションプランの追加・見直しの検討を行っております。

第5次中期経営計画「VISION2030」

トピックス TOPICS

社内プロジェクトの進捗状況について

当社では、新規案件を含む業務課題について部門を横断して集中的に取り組むことを目的として、各種プロジェクトを設置し運営しております。

各プロジェクトの設置目的はそれぞれ異なりますが、最終的なゴールは【社会課題の解決】、【事業の拡大】、【職員の就業環境の改善】などであり、様々なアプローチを通じて中長期的に企業価値を向上させるべく、取り組んでおります。

ここでは、2024年9月末時点における社内各プロジェクトの進捗状況についてお知らせいたします。

バックオフィスによる現場業務の支援

建設業では2024年度から罰則付きで規定化されている残業時間の上限規制への対応として、業界をあげて週休2日の実現と時間外労働の削減に取り組んでいます。

当社においては、業界の取り組みに加えて、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進して生産性向上と働き方改革を図ることで対応しており、その施策の一つとして『バックオフィスによる現場業務の支援』があります。

これは残業時間が多い現場技術者が請け持つ業務の一部を、現場業務の支援を目的として組成した【バックオフィスチーム】という専門部署に委託することで、現場技術者の負担軽減を図り、残業時間の削減や空いた時間を自己研鑽に充てるなどするものです。

2024年度は、開始初年度である2023年度の支援効果の算出や、課題の抽出、支援する対象現場及び業務の更なる拡大を実施しております。

健康経営の取り組みに関する外部評価について

2024年1月にスポーツ庁より「スポーツエールカンパニー」、10月に全国健康保険協会福岡支部より「健康づくり優良事業所ゴールド」に2年連続で認定されました。当社は、社員がイキイキと能力を最大限に発揮することが企業の持続的な成長、ひいては経営理念に掲げた社会的使命を果たすことに繋がるとの考えから、代表取締役社長を最高責任者とした推進体制と、取締役会及び経営会議への定期的な報告体制を整備し、健康経営を推進しております。

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