第135期
報告書


2022年4月1日~2023年3月31日

トップインタビュー TOP INTERVIEW

代表取締役社長 高島 幸一

新中期経営計画の価値(バリュー)創造施策を通じ、高島グループを成長軌道に導きます。

代表取締役社長
高島 幸一

2023年3月期の業績について教えてください。

2023年3月期の売上高は79,683百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は1,585百万円となり、増収増益となりました。

当社グループは、2023年3月期を最終年度とする中期経営計画「サステナX(クロス)」において親会社株主に帰属する当期純利益1,300百万円の達成を目標としておりました。2022年3月期の当期純利益は1,296百万円と1年前倒しで目標をほぼ達成できたことから2023年3月期については、目標を上方修正し、1,400百万円といたしました。

当期における当社グループの売上高は79,683百万円(前期比7.6%増)、営業利益は1,764百万円(同14.0%増)、経常利益は1,939百万円(同5.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,585百万円(同22.3%増)となり、「サステナX」の目標を上回りました。また、ROEは8.3%となり株主資本コストを上回り、ROICは5.0%となりWACC(加重平均資本コスト)を上回りました。

主要3セグメントの業績について教えてください。

産業資材セグメントは減収減益となるも、建材セグメント、電子・デバイスセグメントは増収増益となりました。


建材セグメント

建設資材関連分野は、地盤改良工事等においては低調に推移しましたが、建築資材については堅調に推移しました。太陽エネルギー関連分野は、太陽光パネル及び周辺機器の供給遅延の影響はあったものの、前期比で売上高は増加しました。断熱資材関連分野、住宅資材関連分野は概ね堅調に推移しました。また、業績拡大に向けた営業活動の増加、システム投資の増加、M&A実施に付随する費用の発生により販売費及び一般管理費が増加しましたが、増収増益となりました。

この結果、建材セグメント全体の売上高は、44,511百万円(同5.9%増)、セグメント利益は611百万円(同2.2%増)となりました。


産業資材セグメント

樹脂資材関連分野は、半導体不足の影響による自動車市場の回復が遅れ低調に推移しましたが、成型加工品の受注拡大により売上高は増加しました。繊維資材関連分野は値上げの影響による市場の停滞、需要減で低調に推移しました。また、業績拡大に向けた営業活動の増加、システム投資の増加、M&A実施に付随する費用の発生により販売費及び一般管理費が増加し、減収減益となりました。

この結果、産業資材セグメント全体の売上高は17,677百万円(同2.4%減)、セグメント利益は23百万円(同91.3%減)となりました。


電子・デバイスセグメント

電子機器関連分野は、主力市場である国内民生電子機器市場は前年比にて3年連続マイナスとなる厳しい状況でしたが、国内白物家電市場は前年比2年ぶりにプラスに転じ好調に推移しました。マーケットでの価格競争は引き続き厳しいものの、新規受注の拡大及び円安による業績の嵩上げもあり、増収増益となりました。

この結果、電子・デバイスセグメント全体の売上高は17,301百万円(同26.1%増)、セグメント利益は1,014百万円(同77.4%増)となりました。

2023年3月期にて終了した、中期経営計画 サステナX(クロス)の結果について教えてください。

最終年度である2023年3月期において、当初の目標であった親会社株主に帰属する当期純利益13億円を超え、過去最高益である15億円超を達成致しました。

「サステナX(クロス)」では、「建材」「産業資材」「電子・デバイス」という主力の3事業のそれぞれで、当社グループの持つ多様な人財や機能を相互にクロスさせ、持続的成長を継続するための事業構造・ポートフォリオ転換を図る計画でした。2023年3月期には、電気工事の設計・施工を行う新エネルギー流通システム株式会社と、環境衛生資材・防災用品等の卸売を行う株式会社信防エディックスの2件のM&Aも実行しました。この2件のM&Aは、当社グループの持続的成長に寄与する、大きな前進と考えています。

サステナXで重点戦略として掲げ、取り組んで来たのが「ダントツ戦略の更なる進化」「生産性向上による強靭なコスト競争力獲得」そして「コーポレート・ガバナンスの強化」の3つです。

「ダントツ戦略の更なる進化」では、「省エネ化ソリューション」「軽量化ソリューション」「省力化ソリューション」の3領域でダントツになることを目指し、事業規模の拡大と機能の充実を図りました。「生産性向上による強靭なコスト競争力獲得」では、新しい基幹システムを導入しました。導入に際して立ち上げた「基幹業務刷新プロジェクト」を通じて、業務プロセスの抜本的な改革に着手しています。動き出したばかりで課題は山積しておりますが、当社グループの今後のDX戦略推進の重要な足掛かりとして、全体事業の俯瞰化・見える化を推進しさらなる生産性の向上に努める所存です。「コーポレート・ガバナンスの強化」では、コーポレートガバナンス・コードを踏まえた対応を着実に進めました。

「サステナX」の計数目標としては、13億円の親会社株主に帰属する当期純利益を掲げていましたが、計画期間の2年目でほぼ達成し、最終年度については目標を14億円に上方修正しましたが、2023年3月期の実績は15億円を超え、過去最高益を実現しました。

新中期経営計画について教えてください。

新中期経営計画「サステナV(バリュー)」では、成長機会を捉えた戦略組み立てによる価値創造を通じ、サステナ社会への適応と持続的成長を同時実現することを目的としており、計画の最終年度である2026年3月期において、当期純利益17億円、ROE8%以上、ROIC6%以上を目標としております。

2024年3月期~2026年3月期を期間とする新中期経営計画であるサステナVでは、2021年11月に開示いたしました、東京証券取引所プライム市場への上場維持基準適合へ向けた適合計画書で約定した取組基本方針を柱としつつ、成長戦略のほか、当社のサステナビリティに取り組む姿勢を明示いたしました。

サステナVでは、「ターゲット市場で必要な機能・ソリューションを提供する機能商社」として、将来有望な省エネ化、省力化につながる市場をターゲットに、新たなニーズ・課題を見つけ出し、機能商社としての価値創造、すなわちソリューション提供を行い、また継続的に市場変化に対応し、組織的に進化を実現していくことを狙いとしております。

サステナV期間中において、機能商社としての一大飛躍を目指し、中長期での成長につながるよう、価値創造のサイクルを創りあげていくことが重要であると捉えています。市場の成長性と収益性の向上を鑑みた、事業ポートフォリオマネジメントを通じての収益性の向上を図ってまいります。また、成長投資枠を100億円超と設定し、高い成長率を見込む戦略領域への投資や人財投資を実行します。

計数目標としては、計画最終年度において連結売上高1,000億円、営業利益23億円、親会社株主に帰属する当期純利益17億円、ROE8%以上、ROIC6%以上、総還元性向50%を掲げております。

これらの目標は、未来を見据えて当社グループが当然通過点として達成しなければならない目標であると認識しており、各事業のキャッシュフローと外部資金を活用することで、親会社株主に帰属する当期純利益とROEを高めていき、達成を目指します。

プライム市場上場維持基準への適合状況は順調ですか。

「2026年3月期末」でのプライム市場上場維持基準の達成に向けて、適合計画は引き続き着実に進捗しており、現時点では変更の必要性はないものと判断しております。

適合計画書において、これまでの「堅実経営」から、「持続的成長企業」への転換を目指して、「資本配分方針」「投資リターンを伴う持続的な利益成長」「株主還元策の充実」「IR体制の確立」「コーポレートガバナンス・コードへの対応」という5つの取組基本方針のもと、不適合である流通株式時価総額と売買代金の向上に取り組んでいます。

売買代金については、既に目標をクリアする水準に達しました。2023年3月末時点では流通株式時価総額については未達です。適合計画書を踏まえて作成した中期経営計画であるサステナVでは、資本効率を意識しながら、将来投資事業と基盤拡大注力事業という戦略領域に投資を打ち出し、実施したM&AのPMI(統合効果を最大化する取り組み)を着実に進めることで、新たなる価値創造ひいては企業価値向上による流通株式時価総額の増大にも大きく貢献していくことを期待しています。

引き続き、適合計画書に沿って稼ぐ力の向上と資本生産性の向上に邁進することで、株主・投資家の皆さまからの期待に応えていく考えです。

業績・財務ハイライト PERFORMANCE
FINANCIAL HIGHLIGHTS

連結損益計算書(P/L)の概要(単位:百万円)

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

連結賃借対照表(B/S)の概要(単位:百万円)

資産の部

負債・純資産の部

連結キャッシュ・フロー(C/F)計算書の概要(単位:百万円)

B/S
流動資産について売掛金が2,592百万円、電子記録債権が1,127百万円、商品及び製品が1,071百万円それぞれ増加したことにより、前期比17%増の41,440百万円となりました。
流動負債は短期借入金が2,524百万円、支払手形及び買掛金が1,153百万円、電子記録債権が1,870百万円増加したことにより、同31.2%増の27,585百万円となりました。
C/F
営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加等により増加し、売上債権及び契約資産の増加により減少したものの、700百万円の増加となりました。
投資活動による資金は、主にM&Aによる子会社株式の取得により減少したことにより、1,448百万円の減少となりました。

セグメント別の業績

建材事業本部 Construction Supply Division

営業活動の増加、M&A実施に付随する費用の発生により販売費及び一般管理費は増加したものの、断熱資材関連分野、住宅資材関連分野が堅調に推移し、太陽エネルギー関連分野の売上高増もあり、増収増益となりました。

売上高

単位:百万円

セグメント営業利益

単位:百万円

産業資材事業本部 Industrial Materials Division

樹脂資材関連分野は成型加工品の受注拡大により売上高は増加したものの、繊維資材関連分野が低調に推移し、営業活動の増加、M&A実施に付随する費用の発生により販売費及び一般管理費が増加し、減収減益となりました。

売上高

単位:百万円

セグメント営業利益

単位:百万円

電子・デバイス事業本部 Electronic Devices Division

主力市場である国内民生電子機器市場は前年比3年連続でマイナスとなる厳しい状況であるが、新規受注の拡大及び円安による業績の嵩上げもあり、増収増益となりました。

売上高

単位:百万円

セグメント営業利益

単位:百万円

新中期経営計画 サステナV(バリュー)
2024年3月期~2026年3月期
NEW MEDIUM-TERM
MANAGEMENT PLAN

2024年3月期より、新中期経営計画「サステナV(バリュー)」がスタートいたしました。サステナVでは、政府の掲げる2050年「カーボンニュートラル社会の実現」に向けて変化する市場の成長機会を捉えた戦略の組み立てによる価値創造を通じ、サステナ社会への適応と持続的成長を同時実現することを目指しております。

中期経営計画 サステナV(バリュー)
企業価値の向上
売上高

1,000億円

(建材600億円)

(産業資材200億円)

(電子・デバイス200億円)

営業利益

23億円

親会社株主に帰属する当期純利益

17億円

戦略的投資枠

100億円超

*2022年3月期~2026年3月期までの5年間の合計

ROE

8%以上

ROIC

6%以上

総還元性向

50%

政策保有株式の縮減

純資産比率10.0%未満

(2024年3月期末時点)

トピックス TOPICS

サステナビリティ基本方針の策定

当社グループは従来より、サステナの専門商社を標榜し、2022年1月にはサステナビリティ委員会を設置するなど、サステナビリティ社会への転換に積極的に貢献を図ってまいりました。


当社グループでは、環境、社会、コーポレート・ガバナンスに対する責任を果たし、持続可能な社会の実現を目指すため、2023年4月に以下のサステナビリティ基本方針を策定しました。


サステナビリティ基本方針

高島グループは、『事業を通じて社会に貢献する』という企業使命に基づき、持続的な価値創造と企業価値向上の好循環を創ることで、持続的成長を目指します。


・サステナビリティ社会実現に貢献する事業活動を行います。

サステナビリティ社会の実現に貢献する商材の開発、拡販を行うとともに、温室効果ガスの排出削減や自然資源の効率的な利用など、環境保全に貢献することを目指します。


・社会課題に取り組むことで、企業としての持続性を高めます。

従業員の働きがい向上、エンゲージメント向上により、持続的成長に不可欠な人財の確保・強化に努めます。


・企業統治の強化を図り、リスクマネジメントとコンプライアンスの徹底を行います。

企業統治の強化を図り、透明性のある情報開示やコミュニケーションを行い、ステークホルダーと協働し共に新たな価値創造を目指します。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)へ賛同

2023年2月に、当社はTCFD提言に賛同を表明いたしました。当社では、2022年にサステナビリティに関する取り組みを総合的に推進することを目的に、『サステナビリティ委員会』を設置し、サステナビリティ推進に向けた重要課題(マテリアリティ)を特定するなど、取り組みを強化しています。

引き続き、当社ではTCFD提言及びそのフレームワークに基づいて、気候関連のリスクと機会の評価・管理を行い、長期的な企業価値の向上ならびにサステナブルな社会への貢献を続けてまいります。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)へ賛同

株式会社信防エディックス、新エネルギー流通システム株式会社を子会社化

2022年12月1日に、全国13支店にて太陽光発電システム関連・オール電化システム工事を手掛ける新エネルギー流通システム株式会社、長野県を中心に環境衛生資材を自治体向けに展開している株式会社信防エディックスを子会社化いたしました。本件は、「プライム市場上場維持基準への適合に向けた計画書」において設定した、持続的成長企業への転換を図った基本方針で掲げた投資の一環として実施したものです。両社が当社グループに加わることにより事業基盤を強化し、持続的な成長を目指します。

株式会社信防エディックス 新エネルギー流通システム株式会社

Smart & Smile Biz 実施

当社では、2023年4月より「スマートなスタイルで、スマイルを広げよう。」をモットーとして、省エネルギー化の促進、働きやすさの向上を目指し、クールビズ・ ウォームビズの通年化をSmart & Smile Bizと名付け、実施を開始いたしました。

当社国内各拠点の受付にPOPを掲示し、当社へご来社いただく皆さまに対して、当社ならではのこの取り組みの周知を行っております。

Smart & Smile Biz 実施